さまざまな場所で、ロボットを使った海洋調査・サプライ・海難救助/曳航など、多種多様なプロジェクトに携わります。その中で船員は、船舶を安全に運航するという大事な役割を担っています。
-
通常の乗組員(19名)に加えて、仕事に応じて、作業責任者・ドリルチーム・ROVオペレーター・エンジニアが乗船します。
-
掘削ポイントまで航行し、船の位置を保持するためにDPS(ダイナミック・ポジショニング・システム)により操船を行います。ROVを投入し、ROVのカメラで地形を確認後、掘削を行うこともあります。乗組員は、ROV投入・回収時の作業を補助します。
-
甲板中央のドリルリグから掘削するパイプを海中に繰り出し、海底を掘削します。掘削用パイプは最大3,500m(水深と海底下掘削部の合計)まで取り付けることが可能です。掘削した地層はサンプリングされます。
-
掘削が終了すると、機材を回収して異なるポイントもしくは港に戻ります。
●実際の様子
-
通常の乗組員(8名~12名)に加えて、仕事に応じて、作業責任者・作業隊・ROVオペレーター・エンジニアが乗船します。
-
調査海域まで航行し、ROVやドリル機材を海中に投入し、海底まで深く沈めます。乗組員は、投入作業を補助します。
-
ROVに備え付けられているカメラで様子を見ながら、
ROVオペレーターが遠隔操作で海底の調査を行います。
また、ドリル機材を用いて、海底を掘削して調査をすることもあります。
乗組員は、機材をつなぐケーブルが切れないように、調査機器と常に一定の距離を保つために、ダイナミック・ポジショニング・システム(DPS)により操船を行うことが多くあります。
-
調査が終了すると、機材を回収して港に戻ります。
乗組員は、回収作業を補助します。
●実際の様子
-
通常の乗組員(8名~12名)に加えて、仕事に応じて、作業責任者・作業隊・AUVオペレーター・エンジニアが乗船します。
-
調査海域まで航行し、AUVを海中に投入します。乗組員は、投入作業を補助します。
-
AUVは、事前にプログラミングされた事項に基づいて、自力で潜航・移動し、音波を発信して海底の地形データ等を収集します。
-
AUVは最長で約20時間程度連続潜航できます。
浮上してきたら、回収・充電し再度投入を繰り返し行います。
乗組員は、回収作業を補助します。
●実際の様子
-
乗組員(8名)に加え仕事に応じ、お客様・作業責任者・作業隊・ROVオペレーターが乗船します。
-
事前にAUVのナローマルチビーム測深システムを使用して、海面下の状況を把握した上で、戦艦大和が沈んでいる海域まで航行します。
次に、ROVを海中に投入します。乗組員は、ROV投入作業を補助します。 -
ROVに備え付けられたカメラで様子を見ながら、ROVオペレーターが遠隔操作により水深約350Mの戦艦大和に近づき調査していきます。ROVの画像はハイビジョンです。
乗組員は、ROVと船舶をつなぐケーブルが切断されるのを防ぐため、一定の距離を保つように、ダイナミック・ポジショニング・システム(DPS)による操船を行う事が数多くあります。 -
調査が終了するとROVを回収して港に戻ります。
乗組員は、回収作業を補助することがあります。
-
1隻に乗組員(8名)に加え作業責任者・ROVオペレーターが乗船します。
もう1隻に乗組員(12名)に加え作業責任者・作業隊が乗船し、工事に必要な機材・設備を甲板上に搭載・設置します。 -
沈没している船舶の海域に向かいます。
1隻は、ダイナミック・ポジショニング・システム(DPS)を使用して沈没している船の真上に定点保持をし、ワイヤーを下ろします。
もう1隻は、ROVを投入します。ROV投入の際、乗組員は投入補助を行います。
ROVを潜航させて、ROVに取り付けてあるカメラとロボットアーム(マニピュレーター)を使用して沈没している船の下にワイヤーを通します。
ROV潜航中は、ダイナミック・ポジショニング・システム(DPS)を使用して、操船します。 -
沈没している船の下にワイヤーを通し、吊り上げに耐えうるワイヤーをセットします。ROVを使用して作業を行います。
-
沈没した船を可能な範囲までゆっくり吊り上げます。その間ROVが監視をします。
吊り上げ後、ダイバーにより固縛作業を行い、指定された場所まで回航します。
-
通常の乗組員(8名~12名)に加えて、
仕事に応じて、作業隊が乗船する場合があります。 -
エンジントラブル船を曳航する場合、作業艇を使用して、相手船に乗り移ります。
-
相手船に乗り移り、曳航索を取り付けて、指定の港まで曳航します。
-
指定の港で、ハーバータグ等に引き渡しを行い、
曳航索を回収して終了になります。
●実際の様子
-
乗組員(8名)に加え仕事に応じて、お客様・作業責任者・サイドスキャンソナー(曳航体)チームが乗船します。
-
調査する海域まで航行し、調査機材であるサイドスキャンソナー(曳航体)を投入します。乗組員は、投入作業を補助します。
-
定められたスピードで調査海域を航行しながら、サイドスキャンソナー(曳航体)を使用して、海底の地形の調査などを行います。
乗組員は、ダイナミック・ポジショニング・システム(DPS)により操船を行うことがあります。 -
調査海域での調査が終わると、曳航体を回収して帰港します。
乗組員は、回収作業を補助します。
●実際の様子
-
乗組員(8名)に加え仕事に応じて、お客様・作業責任者・作業隊・ROVオペレーターが乗船します。
-
事前にサイドスキャンソナーなどを使用して航空機が墜落した場所や海底の状況を特定します。その特定された海域まで航行し、ROVを海中に投入します。
乗組員は、投入作業を補助します。
航空機を発見したら回収作業に取り掛かります。
航空機を回収するためにROVを使用してワイヤーに連結します。ROVに備え付けられたカメラで海中の様子を確認しながら、ロボットアーム(マニピュレーター)を使用して連結作業を行います。
乗組員は、ROVと本船をつなぐケーブルが切れないように一定の距離を保つようにダイナミック・ポジショニング・システム(DPS)による操船を行うことが多くあります。 -
ROVによる墜落航空機とワイヤーの連結が終了したらROVを回収します。
航空機と連結したワイヤーをウィンチで巻き上げ、海面近くまで浮上させます。
乗組員は、ウィンチの巻き上げ操作を行います。
海面から引き上げるためのクレーン船が到着後、ダイバーが潜水し、クレーンで引き上げるために連結作業を行います。 -
クレーン船で海面下より引き上げ、クレーン台船に格納して、指定の港に向かいます。
-
通常の乗組員(8名~12名)に加えて、仕事に応じて、乗組員が乗船することがあります。
-
岸壁で、供給する資材(コンテナ・パイプ・セメント)等を積み込みます。
-
出港し、洋上で掘削している船舶や石油のプラットフォーム等に供給する資材を届けます。
-
資材を届けると同時に、回収する資材を受け取ることもあり、岸壁まで運搬します。
作業期間中は、お客様の指示に従い、資材の受け渡しを繰り返し行います。
●実際の様子
-
通常の乗組員(8名~12名)に加えて、お客様・作業責任者及び作業隊・ROVオペレーターが乗船します。
-
浮魚礁が設置されているポイントまで航海します。
ポイント到着後、ROVを投入します。乗組員は投入作業を補助します。
ROVに備え付けられているカメラで浮魚礁を確認後、ワイヤーを海中に繰り出し、浮魚礁の係留索とROVを使用して連結を行います。
乗組員は、ROVが円滑に作業を行えるように定点保持のためにダイナミック・ポジショニング・システム(DPS)による操船を行います。 -
ROVのカッターで浮魚礁の係留索を切断します。その後ROVを揚収します。
-
浮魚礁を船尾水面までウィンチを使用して巻き上げます。その後、作業艇を下ろし、補助しながら甲板上に回収します。
作業が全て終了したら帰港します。
●実際の様子
-
通常の乗組員(8名~12名)に加えて、乗組員(警戒員)を増員する場合があります。
-
警戒業務を行う海域に航海します。
-
警戒業務を行う海域では、工事や調査などの事情で動く事ができない船や構造物などの周りを見張り、付近を通行する船舶に注意喚起・進路案内などをVHFや船舶電話を通じて行います。
-
警戒業務期間が終了すると、帰港します。
業務内容さまざまな場所で多種多様なプロジェクトを行う
私どもの業務は、さまざまな場所で多種多様なプロジェクトに携わります。
例えば、約1ヶ月間のROV(遠隔操作無人探査機)・AUV(自律型無人探査機)を使用した海底調査プロジェクト、約1週間の地震計(OBS)設置回収プロジェクト、約3ヶ月間の大型台船曳航プロジェクト、突発的に発生するサルベージプロジェクトなどがあり、1日で終了する案件もあれば、10年以上にわたる案件もあります。
業務を通じ、さまざまな場所に行き、いろいろな経験ができることが特徴です。
船員の役割プロジェクトチームの中で、船舶を安全に運航する
船内は船員の他、外部の方々も乗り組み、チーム一丸となってプロジェクトを遂行します。
例えばROV等のロボットを用いた海底調査のプロジェクトでは、外部より調査機材の専門オペレーター、エンジニア、作業責任者、作業隊が乗り込むことがあります。
プロジェクトチームの中で船員は、船舶を安全に運航することが基本的な役割となりますが、調査機材の設置・投入・回収などの際は、作業補助をお願いする場合もあります。
業務の特徴忙しい時と余裕のある時の差が激しい
最も忙しく大変な作業は、サルベージ作業(トラブル船を曳航する海難救助)です。突発的に発生することがほとんどで、風や波が荒く、寒さが厳しい中での作業もあり、時に船舶にロープ・ワイヤーを連結する作業が思い通りに進まないこともあります。安全に終了するまでは集中して作業を行う必要があります。
また、洋上で掘削している船舶や石油プラットフォーム等へコンテナ・パイプ・セメント等の物資を届ける作業も体力が必要で、忙しくなります。
一方、プロジェクトが終了し、次のプロジェクトが開始するまでの間、1日~2・3ヶ月の間、港での停泊期間が生じることがあります。その間は主に機器設置・メンテナンス作業などを中心に行いますが、比較的余裕のある期間となります。メンテナンスが行き届いていれば、時に船上での休日もあります。
船内の雰囲気甲板部・機関部の良好な関係
私どもは甲板部・機関部の仲が良いと言われることがあります。
これは、時に甲板部・機関部一丸となって仕事に取り組むことにも関係しているのではないかと考えています。
例えばサルベージ作業時、エンジンが動かない船舶にロープやワイヤーを連結する際は、甲板部の船員だけではなく、機関部の船員を含め船舶の総力をあげて取り組みます。
また、海洋調査作業において、機器の改修の際、甲板部・機関部で電源や溶接可能な範囲等の点を入念に打ち合わせてから、取り付け作業を開始します。船内コミュニケーションをよく取る文化を、今後も続けていきたいと思います。
守秘義務報道になる現場に行くこともしばしば
プロジェクトにより、新聞で報道される海難事故や調査・作業現場に行くことが度々あり、守秘義務が発生します。守秘義務が発生する案件については、第三者への情報漏えい防止、インターネットやSNSへの書き込みの禁止など、厳格な取扱いが必要となり、全社をあげて取り組んでいます。